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今回は、2021年で最も人気のあった記事5つを紹介します。気になる記事があればぜひ読んでみてください!なお、過去の全ての記事はこちらからご確認いただけます。
インパクト投資の基礎:なぜ今、本格化しているのか?注目すべき3つの変化
インパクト投資は近年、市場規模が急拡大し、アセットクラスの拡大しています。
2019年には総AUMは4,040億USドル、グローバル全体の推定は7,150億USドルの市場規模と推定されています。また、この分野は伝統的に開発金融機関やプライベートエクイティ(非上場株式)の投資家が牽引してきましたが、最近はアセットクラスの中で比率を伸ばしてしているのは上場株式で年平均成長率33%に上ります。
インパクト投資が本格化している背景には主に下記の3つの変化が考えられます。
テクノロジーの進化:
課題解決の再現可能性が高まったことで、ビジネスをスケールさせることができるようになり、メインストリームの金融機関が十分なリターンを確保できるとして投資対象にできるようになったことが大きな変化といえます。多様な担い手の参入:
メインストリームの金融機関が十分なリターンを確保できる可能性が出てきていること、世界的に直面するコロナ危機や気候変動などの諸課題に大企業の事業経営のリスク管理や社会的責任を果たすため、企業が取り組む必要が出てきており、そういった分野に取り組むためにはスタートアップとの協業が欠かせなくなってきていることなども考えられると思います。インパクト評価の標準化に向けた進展
開発金融機関やインパクト投資家ネットワークが今までの実務で得た知見を取りまとめ、民間の金融機関も使えるようプリンシプル等を公表し始め、一気に議論が進展しました。例えば、署名機関100機関を超える国際開発金融公社(IFC)がリーダーシップをとって開発した、インパクト投資マネジメント原則などが挙げられます。
本記事では、具体的な企業や投資ファンドを取り上げて解説しています。
インパクト投資の基礎:インパクト投資は儲かるのか?
インパクト投資の業界団体、Global Impact Investing Network(以下、GIINという)が発表した、インパクト投資の投資判断:財務的リターンの考察(原題:IMPACT INVESTING DECISION-MAKING: INSIGHTS ON FINANCIAL PERFORMANCE)という調査レポートを解説。プライベート・エクイティにおけるインパクト投資に対する考察や、財務的リターンに対する期待値の実績値の比較などを紹介しています。
サンプル数が少ないので、一般化するのは難しい部分もありますが、インパクト投資ファンドには下記のような傾向がみられるようです。
・投資目標や投資目的に応じて、市場リターンを実現している
・財務リターンに大きなばらつきがある
・投資目的によって財務パフォーマンスが異なる
・小規模ファンドは大規模ファンドよりもアウトパフォームする傾向にある
GIINは定期的にレポートを出しているので、次のレポートも楽しみにしていてください。
インパクト投資の機会を個人にも:英のスタートアップ Ticker (現:CIRCA5000)
2021年に250万ポンドを調達したTickrという、英国の個人投資家向けインパクト投資サービスを行うスタートアップを紹介。
創業者は金融業界で勤めた経験から、投資業界の複雑性と専門性、高い管理報酬、何よりも環境などの地球課題に無関心な業界に限界を感じ、Tickrの創業に至りました。
ポジティブな変化を起こすことができるインパクト投資が、一部の専門家、富裕層や大規模な機関投資家にアクセスが限定されているもの になってしまっていることに課題を感じ、インパクト投資の機会を多くの人に提供するためのサービスを提供しています。
経済的リターンを求めながら関心のあるテーマに投資ができるサービス
個人が継続的に寄付することでカーボンオフセットに貢献できるサービス
サービスの詳細や今後の可能性について、記事で紹介しています。また、2021年のインパクト・レポートはこちら からご確認いただけます。
食料廃棄問題をテクノロジーで解決する米のスタートアップ Imperfect Foods
2021年に95百万USドルの調達(Series D)をしたサンフランシスコに拠点を置く食料品配送サービスベンチャー。「食品ロスを削減してみんなにとってより良い食料システムを構築すること」をミッションに掲げ、サブスクリプションモデルで規格外の野菜を顧客に直送しています。
本記事では、調達、廃棄物の削減、エネルギーの使用など、Imperfect Foodsの具体的な取り組み例や取り組み結果を紹介しています。
Bain Capital Double Impactの取り組み
世界有数のプライベート・エクイティファンドであるBain Capital によるインパクト投資ファンドBain Capital Double Impact (BCDI) を紹介。
2020年には800万USドルの2号ファンドを組成しました。2017年に390百万USドルの1号ファンドでは、投資活動を通じて主に3つの社会課題の解決に取り組んでいます。
人々の健康と教育(Health&Wellness)
地球環境改善や悪影響の削減(Sustainability)
低所得世帯への雇用機会の提供(Community Building)
本記事では、BCDIのメンバー構成、投資家に加え、投資先の一つでExit済みのPenn Foster(学生および成人に対する教育と雇用機会提供のサポート事業)の事例を紹介し、BCDIの出資先の成長支援、売却判断などについて考察しています。
来年もチーム一同、面白い記事をご提供していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。よいお年をお迎えください。